経営者のための在庫、売掛金「鮮度管理」のススメ - Shigeaki Takai - E-Book

経営者のための在庫、売掛金「鮮度管理」のススメ E-Book

Shigeaki Takai

0,0
21,99 €

oder
-100%
Sammeln Sie Punkte in unserem Gutscheinprogramm und kaufen Sie E-Books und Hörbücher mit bis zu 100% Rabatt.

Mehr erfahren.
Beschreibung

過剰生産と不正会計リスクの軽減に関する参考書籍

「在庫・売掛金管理」をしっかりやればあらゆる経営課題は解決できる!

ソニーで長年、海外営業、経営管理、生産や物流に携わり
国内外の企業の「在庫管理」に熟知した著者が解説する
「在庫起点 経営コンサルティング」とは! ?

「在庫とは企業にとって利益とともに損失をもたらすもの」という観点から
在庫に関連した3つの課題(①運転資本の増加 ②廃棄ロスによる在庫処分費用の増加 ③不正会計リスクの軽減)に着目し、在庫管理手法のキモはモノと金の鮮度管理(=時間軸管理)と徹底した週次オペレーションにあると解説。
また、取材を通して知りえた国内大手企業の事例を紹介し、日米のキャッシュ化速度を徹底比較。加えて世界の食糧問題にも言及し、過剰生産・過剰供給を抑制することを提唱する。英訳版に続き、多言語での出版を予定し、在庫鮮度管理の普及活動を全世界に展開。
製造、物流、食品……あらゆる業界の経営者・経営管理部門・SCM責任者必読の一冊

特典:読者の方には、30分間のオンラインでの無料相談に応じます。

目次
第一章 なぜ今、在庫管理、鮮度管理の強化が求められているのか?
第二章 キャッシュ・マネジメントについて
第三章    財務視点から見た在庫
第四章    統合デマンド・サプライチェーンから見た在庫管理
第五章    オペレーション改善のための効果的な経営手法及び管理指標
第六章  在庫総枠管理 (Dollar Control)
第七章    在庫管理の将来(The future of Inventory management)
第八章  不正会計リスク軽減に向けた現場力強化
第九章 鮮度管理及び不正会計リスク軽減に効果的なシステムとその活用

 

Das E-Book können Sie in Legimi-Apps oder einer beliebigen App lesen, die das folgende Format unterstützen:

EPUB

Veröffentlichungsjahr: 2020

Bewertungen
0,0
0
0
0
0
0
Mehr Informationen
Mehr Informationen
Legimi prüft nicht, ob Rezensionen von Nutzern stammen, die den betreffenden Titel tatsächlich gekauft oder gelesen/gehört haben. Wir entfernen aber gefälschte Rezensionen.



はじめに

 そもそも在庫とはビジネスにとって利益の源泉であると同時に、損失をもたらすものでもあり、またオペレーションの結果にすぎません。

 在庫に関しては、ビジネス環境の変化に応じて、管理方法も大きく変化してきました。

80年代半ば、「大量生産・大量消費の時代」から、「量から質──多品種少量生産の時代」に転換、その当時は、自社の「企業内物流の最適化」を目的としたロジスティックスが主流でした。

 在庫管理は、製造部門と販売部門が連携し、機会ロスをなくすため、在庫は多目に持つことが励行された時期であったといえるでしょう。

 バブル期とその崩壊を経た90年代半ばから、物流の効率化、ローコスト化に対する要請が厳しくなる中、企業内部にとどまらず、他企業まで巻き込んでムダを省く「企業間全体の最適化」を目指して、トヨタ自動車の「かんばん方式」を手本に米国IT企業が発案したサプライチェーン・マネジメントの手法が脚光を浴び、在庫管理を目的とした様々なシステム、需要予測システム、自動引当、納期回答、倉庫管理システム、在庫の「見える化」等々が、大手・中堅企業に導入されました。

 その後、2008年9月15日の未曽有の金融恐慌リーマンショック、2011年3月11日の東日本大震災、同年秋のタイ大洪水の影響で、業界によっては需給のアンバランスが解消されるまでに半年以上かかったといわれ、BCP(事業継続計画)に備え、サプライチェーン・リスクマネジメントという言葉が生まれたほど、想定外の事態に遭遇しました。

 調達部門における供給ルートの確保、在庫起因コストの圧縮が強調されています。

 私は、在庫に関連した課題は大きく3つあると認識しています。

課題1 運転資本の増加

 ビジネス規模に関係なく、経営課題として運転資本の管理、キャッシュ・マネジメントの重要性が挙げられます。商品を購入して、販売し、代金を回収するという企業活動のプロセスにおいて、売上の入金よりも先に商品の購入代金を支払う場合、そのタイムラグを埋め合わせるために、一定のキャッシュが必要になります。これを運転資本といいます。

 運転資本とは、売掛金と在庫の合計から買掛金を差し引いた額のことで、通常、プラスになり、その分の資金が必要になります。

 日本企業はP/L(損益計算書)主導からB/S(貸借対照表)主導、C/F(キャッシュフロー)主導に軸足を移す企業が増えてきていますが、欧米企業に比べまだ改善の余地は十分にあると思います。

課題2 廃棄ロスによる在庫起因コスト(在庫処分費用)の増加

 グローバル規模では食料の損失(Food loss)及び食品廃棄(Food waste)が挙げられます。全世界で生産される食糧の約1/3(約13億トン)が廃棄され、そのうち本来食べられるのに廃棄されているもの、いわゆる「食品廃棄」は17%(2億2200万トン)で、サハラ以南アフリカの食料純総生産量(2億3000万トン)に匹敵するといわれております。

 また我が国における食品廃棄(一般的に食品ロスと呼ばれる)は年間500万トン~800万トンといわれており、これはコメの年間収穫量(平成24年は約850万トン)に匹敵し、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成23年で年間約390万トン)を大きく上回る量です。

 2015年9月に開催された国連サミットでは、2030年までに消費段階(小売・消費レベル)における世界全体の一人当たりの食品廃棄(Food waste)を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失(Food loss)を減少させることが採択され、また同年12月にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で196ヶ国の合意に至りました。

 食料の損失、食品廃棄が発生するということは、水、土地、エネルギー、労働と資本を含む資源を浪費することであり、不必要な温室効果ガス発生につながっており、地球温暖化と気候変動に関連する重要な環境課題であります。

課題3 不正会計リスク(在庫、売掛債権、買掛債務)の軽減

 一般的に不正会計の多くは、売上高や利益が実際よりも多いように見せかけるために行われます。2015年度に露呈した東芝の不正会計では、在庫の評価損を不適切な計上、また小僧寿司では架空仕入による不正支払いが発覚しました。また在庫だけでなく、売掛債権においても過去における不適切な処理が不正会計につながった不祥事は多くみられます。不正会計リスクを極小化するための対策として、一般的には監査法人による更なる監視機能の強化、公認会計士等による企業のガバナンス強化、コンプライアンス強化が挙げられますが、これらを未然に防止するにはどうしたらよいかについて、残念ながら有識者による具体的な提言は見られず、すべて企業任せになっていると言っても過言ではありません。

 私は、これらの課題に対して、在庫起点経営コンサルタントとして、過去の経験・知見を最大限に生かし、キャッシュ化速度を速めることで活路を見出せるのではないかと考え、モノ(在庫)と金(売掛金、買掛金)の鮮度管理、換言すれば時間軸管理を提唱します。

 特にFMCG(Fast Moving Consumer Goods=変化の速い製品)市場では、バブル崩壊後、売り手市場から買い手市場になって既に20年以上が経過しております。

 市場で需給のアンバランスが起こった際、迅速にその変化を察知して対応できる企業、つまり変化対応型企業を徹底研究することでその解決の糸口が見えてきます。

 本書で事例として取り上げている企業はいずれも、市場や需要の変化に感度よく察知・対応し、製販在のタイムリーなバランスが上手くいっており、結果として在庫の廃棄ロス、処分費用は相対的に低く抑えられています。

 言い換えると、在庫の鮮度管理(または時間軸管理)を導入するということは、過度な余剰生産、余剰仕入を抑制し、結果として環境課題に貢献すると言っても過言ではないと思います。では、その手法について、簡単に説明します。

 運転資本の額は、取引先や市場との関係で日常的に変動します。したがって、その水準を定点観測するコントロールが不可避であります。運転資本が増える場合には、新たにキャッシュが必要になってきますし、逆に、運転資本が減る場合には、その分のキャッシュを用意する必要がなくなります。企業が資金を回収する効率性・スピードを示す財務指標として、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)があります。本書では、キャッシュ化速度という表現を使っております。

 欧米の大手企業は、CCCを経営指標として採用しており、同じ利益水準であってもキャッシュ・マネジメントに優れた企業のほうが高く評価されます。CCCがマイナスの企業は、売上が拡大するほど運転資金は潤沢になり、強固な財務体質の実現や積極的な戦略投資を可能にしております。一方、CCCがプラスの企業は売上が拡大するほど運転資金が圧迫され、借入金や金利負担が増加します。

 急激な事業環境の変化に際して資金不足に陥らないためにもキャッシュ・マネジメントが必要ですし、利益成長が鈍化する中でキャッシュをいかに効率的に生み出すかが注目されていることも背景にあり、日本企業にも徐々にではありますが、浸透しつつあるようです。最近では、アサヒホールディングス、LIXIL、日本電産といった会社が、キャッシュフロー改善を目指して経営指標としてCCCを導入しています。

 CCCはあくまでも日数が中心となっていますが、同時に金額でも把握することにより、目標に対して、いくらの棚卸資産、売掛債権を圧縮し、買掛債務を延長し、運転資本を減らしたかを認識することで、結果として営業キャッシュフローに与えるインパクトを全社的に認識する必要があるでしょう。

 では、CCC──キャッシュ化速度をよくするにはどうしたらよいのでしょうか?

①在庫日数を短くする(在庫削減)。

②売掛金回転日数を短くする(売掛金を削減する・取引条件を見直す)。

③買掛債務回転日数を長くする(取引条件を緩和)。

 そのためには、以下の5つのステップが必要であると考えます。

1.自社のCCC(在庫、売掛金、買掛金)について、現在のキャッシュ化速度を認識し、同業他社との比較をし、立ち位置を確認する。

2.自社の四半期毎の状況を把握し、キャッシュ化速度の中期的目標設定を行う。

3.各々の状況を週単位で把握し、目標を設定し、業務プロセス改革を断行する。

4.四半期毎の結果を全社的に開示し、改善活動のレビューを行う。

5.CCCの結果を営業キャッシュフローの重要なドライバーとして位置付け、適切な評価を行うと同時に経営陣と現場の一体活動として継続する。

 本書で事例として取り上げる日本企業は、以下の通りです。

・商品鮮度管理については、鮮度、業務プロセスリードタイム短縮、納期短縮を経営指標に掲げて取り組んでいる商品、日本企業として、アサヒスーパードライ、キユーピーマヨネーズ、カルビーポテトチップス、セブン─イレブンそして、商品の価格下落と陳腐化のサイクルが短いエレクトロニクスを生鮮食品として鮮度管理を導入したソニーの5社の取り組みを紹介します。

・週次サイクル管理でキャッシュ化速度が業界でもとりわけ速く、成長を持続している企業として、しまむら、ABCマート、アイリスオーヤマ、ドン・キホーテ、亀田製菓のこだわりを在庫に関連したSCMオペレーションの観点から紹介します。

・最後に、在庫がもたらすコストの中でも、在庫処分費が極端に少ない回転寿司のスシロー(廃棄率は業界平均6%に対して1・6%以下)、おべんとうの玉子屋(廃棄率はコンビニ弁当では一日平均3%に対して、玉子屋は0・1%以下、65個以下)を取り上げます。

 これら企業の共通点は、以下の通りです。

①お客様の立場に立って、鮮度/業務プロセスリードタイムを経営指標に明確に定めて、トップ自らが目標を掲げている。

②業務プロセス改革を断行して、特に生産・物流リードタイム短縮を立案、実践している。

③売れ筋商品と死に筋商品を明確に分けて、特に予備軍対策を現場まで落とし込んでいる。

④鮮度/業務プロセスリードタイム状況、結果に対して、トップと実務者が同時に共有し、PDCAを回している。

⑤流通在庫(店頭在庫)を常に意識した上で、生産(発注)を行っている。

⑥モニタリングサイクルは、月次ではなく、日次、週次とする。海外展開も同様のやり方を導入し順調に伸ばしている。

⑦滞留在庫の早期発見、先手管理により、在庫処分費用が極端に少ない傾向にある。

⑧自由闊達な社内風土、情報開示が進んでおり、問題を早期発見するカルチャーが根付いている。したがって、棚卸資産の不正会計リスクは限定的である。

⑨現場主導で業務プロセス改善が徹底議論された上で、システム構築を行う。

⑩基本動作、基本理念に基づいて、変化対応力を高めるとともに、品質と鮮度を重視する。

 鮮度、それはマネジメントの感度であり、わかりやすい指標でもあります。鮮度をブレークダウンして各々の改善活動に落とし込んでいく手法であり、鮮度を維持するためには、従来の月末、半期末、年度末の在庫調整のやり方ではなく、本来あるべき姿を具体的に描いたうえで、経営陣と現場が一体となって取り組むべきテーマでもあります。

 トップが決めた鮮度指標を達成するために、調達、製造、販売、物流各々の部署の取り組み課題を明確にし、行動計画を立案し、実行する。従来からの在庫削減、在庫管理手法に鮮度手法を加えることで、食品・飲料メーカーだけでなく、FMCG(Fast Moving Consumer Goods=変化の速い製品)であれば、どの業界でも活用可能であります。商品の特性、ビジネス環境によって、鮮度良好な期間を段階的に設定し、マネジメントが意思を持って全社展開することでキャッシュフローは間違いなく改善するでしょう。

 なぜ、鮮度管理が重要なのか? 私は、商品の陳腐化、価格下落が激しいエレクトロニクスを生鮮食品と同じくらいに扱うことが単品管理につながると確信し、2002年に活動を開始。商品鮮度管理IFC(Inventory Freshness Control)という社内造語を広め、全世界70ヶ所での世界同時棚卸を実施する等、伝道者として活動、また食品業界では食の安全・安心、トレーサビリティの重要性を現場で体験しました。

 本書では、既存の在庫に関する書物とは別の切り口でオペレーション強化、財務体質強化、キャッシュ・マネジメントの強化という目的達成に向け、モノと金の鮮度管理に重点を置いて書かれた指南書として、経営者・管理者に加えて実務者やこれから経営者を目指す人や学生達にもわかりやすく解説してあります。

 売掛債権、買掛債務については、多くの企業では月次単位で個別管理しているケースが多いようです。取引先との約束事に関わる領域であるため、取引先を特定して交渉している米国アップル社、デル社、HP社、アマゾン社、ウォルマート社等の事例も参考に、キャッシュ化速度を速めるにはどうしたらよいかを議論することに加え、不正会計リスク軽減に向け、どのような視点で管理するのが望ましいかについて説明します。

 不正会計リスクというよりも、売掛債権リスク、買掛債務リスクそのものを早期に発見し、適宜必要な対策が取れるような組織力を高めるため、効果的なシステムおよび活用、推進体制についても整理してみました。

 多くの日本企業が、経営者のリーダーシップの下に、日本企業が生んだ鮮度管理を経営指標として全社一丸となって取り組むことにより、オペレーション現場力をさらに強化することを祈念しております。

 2016年

♦経営者のための在庫、売掛金「鮮度管理」のススメ

目 次

第一章なぜ、今 在庫管理、鮮度管理の強化が求められているのか?

①鮮度とは何か?

②世界が抱える食料の損失(Food loss)、食品廃棄(Food waste)問題

③なぜ鮮度を徹底追求している企業は強さを維持できるのか?

・アサヒスーパードライ

・キユーピーマヨネーズ

・カルビーポテトチップス

・セブン─イレブン

・ソニー

商品鮮度管理の3つの目的

・フェーズ1

・フェーズ2

・フェーズ3

第二章キャッシュ・マネジメントについて

①プロフィット・イズ・オピニオン、キャッシュ・イズ・ファクト

②キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)

・米国企業の特徴

・日本企業の特徴

・日米企業の比較

③キャッシュ化速度を速めるためにはどうしたらよいのか?

第三章財務視点から見た在庫

①財務諸表──損益計算書と在庫

②財務諸表──貸借対照表と在庫

③財務諸表──キャッシュフロー計算書と在庫

④損益分岐点と在庫

第四章統合デマンド・サプライチェーンから見た在庫管理

①物流、ロジスティックス、サプライチェーン・マネジメント

②統合デマンド・サプライチェーンとは?

③統合デマンド・サプライチェーンにおける在庫管理

④5S

第五章オペレーション改善のための効果的な経営手法および管理指標

①バランス・スコアカード(Balanced Scorecard、BSC)

②シックスシグマ(Six Sigma)手法

③在庫起因コスト(Inventory Driven Costs、IDC)

④販売予測精度と約束納期遵守率

⑤SCMプロセスリードタイム

⑥流通在庫回転日数

⑦欠品率

第六章在庫総枠管理(Dollar Control)

①オペレーションサイクルを月次から週次に

・しまむらの事例

・ABCマートの事例

・アイリスオーヤマの事例

・ドン・キホーテの事例

・亀田製菓の事例

②在庫回転日数と在庫金額

③総枠管理における盲点

第七章在庫管理の将来(The future of Inventory management)

①ビールゲーム(Beer game)

②在庫管理体制

③在庫管理評価──問題解決のPDCA

第八章不正会計リスク軽減に向けた現場力強化

①昨今の不正会計と、大手監査法人の取り組み

②オペレーション現場力の強化による不正会計発生リスク軽減

第九章鮮度管理及び不正会計リスク軽減に効果的なシステムとその活用

第一章 なぜ、今 在庫管理、鮮度管理の強化が求められているのか?

 私が鮮度管理をエレクトロニクス商品に適用するきっかけになったのは、キユーピーマヨネーズが賞味期限内であっても商品価値が下がるため、鮮度管理システムを導入したというニュースでした。この章では、鮮度の定義、賞味期限、消費期限の違いを明らかにした上で、現在、国連の決議の下に進められている食料損失、食品廃棄について状況を説明します。最後に鮮度にこだわって好業績を維持している企業を取り上げて、共通点を洗い出し、鮮度管理の重要性を説明します。

②世界が抱える食料の損失(Food loss)、食品廃棄(Food waste)問題

 賞味期限に関連して、世界の食品廃棄に関する情報を紹介します。

 国際連合食糧農業機関(FAO)の2011年の調査によると、世界の食糧生産量は約40

 これによると、先進工業国の特徴としては、損失・廃棄全体の40%強は、小売店や消費段階で発生しているのに対して、開発途上国では損失・廃棄の約40%は生産から加工に至る過程で発生しており、小売店や消費段階では極めて少量ということがわかりました。

原因:食料損失、食品廃棄の主な原因は、作物によって異なりますが、共通している点は、開発途上国では、暖かく湿度の高い気候条件での腐敗しやすい作物の品質劣化、輸送、冷凍・冷蔵の貯蔵施設やインフラの不備、食肉に関しては飼育中に頻繁に発生する疾病(たとえば肺炎、消化器系疾病および寄生虫)に起因する家畜の高い死亡率等が挙げられます。また貧しい農家は特に納期の後半に資金繰りが苦しいあまり、食糧が未熟なまま収穫され、結果的に栄養的にも経済的にも価値を失い、それが消費に不向きであった場合、損失・廃棄されるというケースもあるとのことです。

 先進工業国では、生産が需要を上回ると食料損失が発生します。農家は、予期しない天候不良や病害虫の発生を心配する一方で、合意した量の出荷を確保するために、時には安全を期して生産計画を立て、必要とされる量よりも多くを生産してしまう傾向にあるようです。また食品の安全性、味あるいは栄養価には影響ないものの、最終生産物の重量、形あるいは外見的な不揃い、あるいは包装の不具合等で、基準値を逸脱する場合、往々にして捨てられているケースも見られます。

 また、供給時の大量陳列と幅広い生産物/銘柄産品も食料損失を導くと考えられます。小売店は品揃えを充実させ、また消費者もそれを期待します。しかし、現実問題として消費期限/賞味期限が近づいている商品は消費者から敬遠・無視される傾向にあり、廃棄につながるケースもあります。

 また生産量のうち約半分が損失・廃棄されている果物、野菜、芋類は、余剰生産に対して、保存施設の不足、市場価格維持のため、廃棄を選択するケースが比較的多いようです。

防止策:国連FAOより、食料損失や食品廃棄の量を減らすために、以下の提示がなされています。

「開発途上国では、まずは収穫技術、農業者教育、貯蔵施設やコールドチェーン(生鮮食品を生産から消費者へ届けるまで冷凍、冷蔵、低温の状態で流通させるしくみ)の改善が必要である。一方、先進工業国では、食糧の供給側と買い付側でのよりきめ細かな調整レベルの向上に加え、産業、小売業者、消費者の意識を高めるだけでなく、現在捨てられる食品に関していかに有益な使用法を見つけるかが重要である」

 特に外観品質基準を満たしていない農作物については、小売店を通さず、産地から消費者に直接販売する等の対応策が考えられると提言しています。

 2015年9月に開催された国連サミットでは、2030年までに消費段階(小売・消費レベル)における世界全体の一人当たりの食品廃棄(Food waste)を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失(Food loss)を減少させることが採択され、また同年12月にパリで開催されたCOP21で、新たな温暖化対策「パリ協定」が196ヶ国・地域の合意に至りました。

 世界の穀物需給が逼迫する中、世界的に食品廃棄削減に向けた取り組みが進んでいます。

 先進国の中でもフランスでは、毎年2200万トンの食料損失、食品廃棄のうち、710万トン(約32%)が、本来食べられるのに廃棄されています。2016年2月よりスーパーマーケットの賞味期限切れ食品の廃棄が法的に禁止されました。廃棄されるはずだった食品はフードバンク(品質に問題がない食品を生活困窮者などに配給するシステム)などの援助機関に回され、必要とする人々に配られます。これによって、毎年数百万人に無料の食事を提供できるようになるといわれています。

 延べ床面積400平方メートルを超える店舗には、売れ残り食品の受け入れを行っている慈善団体との契約を2016年7月までに結ぶことが義務付けられ、これを行わなければ、罰金が科されることになりました。人の食用に適さなくなった売れ残り食品については、家畜の餌や堆肥として転用しなければなりません。こうした法律は世界初となります。(出所:The HUFFINGTON POST 2016年2月8日 Platnews編集長 室橋祐貴「フランス、スーパーでの食品廃棄を法律で禁止」)

 英国、イタリアでも法整備に向けて準備が進められています。

 また人口566万人のデンマークでは、年間70万トンの食品が廃棄されている中、2016年3月にスーパーマーケットで賞味期限切れ食品を30~50%引きでの販売を開始。オープニングにはマリー女王も立ち会うなど、政府も全面的にサポートしているとのことです。

 日本国内における年間の食料損失・食品廃棄量は、食料消費全体の2割にあたる約1800万トン。このうち、売れ残りや期限切れの食品、食べ残しなど、本来食べられたはずの、いわゆる「食品廃棄」は500万トン~800万トンとされています。(但し、国内では、食品ロスという名称で活動を展開)

 我が国におけるコメの年間収穫量(平成24年は約850万トン)に匹敵し、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成23年で年間約390万トン)を大きく上回る量です。また、日本人一人当たりに換算すると、「おにぎり約1~2個分」が毎日捨てられている計算となります。

 日本の食料自給率は現在39%(平成23年度)で、大半を輸入に頼っていますが、その一方で、食べられる食料を大量に捨てているという現実があるのです。

 食品廃棄発生の実態は、規格外品、返品、売れ残り、食べ残し、過剰除去、直接廃棄など多様であり、またその発生の理由も商品の汚損・破損、商品入れ替え、出荷予測精度の低さ、消費者の過度の鮮度意識等複雑であるため、それぞれの関係者が食品廃棄削減に向けた取り組みを着実に進めていくことが必要になります。具体的には官民一体となり、ノーフードレス・プロジェクト(No-Foodless Project)が発足し、個別企業等の取り組みだけでなく、フードチェーン全体で解決していく必要のある課題として、製造業・卸売業・小売業による商習慣を中心に、消費者の理解を得ながら、優先順位をつけつつ取り組みを進めています。

 具体的な取り組み内容としては、以下の通りです。

①卸売業・小売業の多くで取引条件として設定されている納品期限の見直し・再検討に向けたパイロットプロジェクトの実施(納品期限を1/3から1/2にして効果実証)

②賞味期限の見直し

③表示方法の見直し

④食品廃棄削減に関する消費者理解の促進

⑤その他の食品廃棄削減に向けた取り組み

(以上、農林水産省HP、公益財団法人流通経済研究所、一般社団法人日本有機資源協会発行ニュースリリースを参考に改編)

 2016年4月25日付け日経新聞によると、2015年度に実施した実証実験では、需要をより的確につかんだ結果、豆腐で3割、めんつゆで2割の食品廃棄を減らしたという実績を受け、経済産業省は大手コンビニエンスストアのローソンや伊藤園、日本気象協会などと連携し、気象予測情報やインターネット上のつぶやきから、売れ筋商品を予測するシステムを2017年度に実用化すると発表しました。

 これにより、消費者の動きをきめ細かくつかみ、需要に応じた商品の生産や発注に生かす計画です。システムの開発については、ネスレ日本や豆腐製造大手の相模屋食料(群馬県・前橋市)、新日本スーパーマーケット協会など26社・団体と協力し、まずは天候によって売れ行きが左右される商品(豆腐、ビール、冷やし中華等)を対象にシステムを実用化して食品メーカーや小売業に導入します。将来的には、同じく売れ行きが天候に左右されやすいエアコン、こたつ、日傘、蚊取り線香など、食品以外の分野にも生かすとのことです。

 コンビニ業界のノウハウを他業種にも展開することにより、食料損失、食品廃棄の軽減を官民挙げて協力することが益々重要になってくるのではないでしょうか?

人口増加に伴う対応:国連の調査では、世界人口は現在の約73億人から2030年には85億人、2050年には97億人、2100年には112億人へとアフリカを中心に増え、また先進国は高齢化が加速されます。前述の国際連合食糧農業機関(FAO)の食料損失及び食品廃棄の数値比率で推移したと仮定すると、数値は前項の通りとなります。2100年は2011年比で人口が6割増える分、食料損失、食品廃棄(食べられるのに廃棄)はそれ以上に広がるリスクも考慮する必要があるでしょう。では、具体的数値で確認してみましょう。食料損失は食糧全体に対して30%、またそのうち食品廃棄は5%に相当します。したがって、食品廃棄を2030年までに半減することよりも、それ以外の食料損失(