鼻呼吸法で決まる瞑想とヨガの効果 - Dr. COSTA P - E-Book

鼻呼吸法で決まる瞑想とヨガの効果 E-Book

Dr. Costa P

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  • Herausgeber: Tektime
  • Kategorie: Ratgeber
  • Sprache: ja
  • Veröffentlichungsjahr: 2022
Beschreibung

本書は『瞑想は脳に良い』の著者スティーブン・ローレンス神経科医教授による「まえがき」が書かれています。コスタ博士の著書では、耳鼻咽喉科の専門知識に加え、呼吸法、ヨガや瞑想についてのパワフルなアプローチが展開されます。そして鼻呼吸にまつわる重要な概念がつぎつぎと明らかにされます。それぞれの章で書いている内容は、2つの原則がたがいに補足し合い理解しやすいように構成されています。これらの章は相互に補完し合う関係ですが、まず科学的で医学的な内容を扱い、その次にヨガや瞑想の両輪と技術を中心に、陰と陽、吸気と呼気のように展開されます。一般人や関心のある人、自分の鼻の働きを知りたい人たち、一般的な知識を広げたいと願っているヨガや瞑想のコーチにとっても有益で実用的な教養の旅となるでしょう。

この本で主に鼻呼吸を取り上げたのは、瞑想やヨガを行っている間に機能している他の臓器についての理解を深めるには、欠かせないステップになるからです。耳鼻科が網羅する範囲はかなり広く、その診療も活発です。鼻呼吸療法とは、一人ひとりのライフスタイルや信念、そして期待に寄り添い、健康の増進を目指すものです。実際、鼻呼吸を実践している人は、信頼できる医療情報を適切な言語で得られるように配慮しています。それが、幸福で健康的な状態を表すウェルビーイングという概念です。当然、医師から開業医まで等しく科学的にアプローチできる方法が存在しています。わかりやすくいえば、このような分野に興味のある読者なら、誰にでも開かれているのです。さまざまな興味深い話を交え、健康的でよりよい生活を目指し、実践や有益性にアプローチしながら、鼻が果たす意外な役割に、より理論的で学問的な視点をあて、マインドフルネス、解決策、鼻呼吸、解剖学、鼻の生理学、幸福、鼻の呼吸サイクル、好奇心、思いやりのある解決策、ヨガにおける鼻呼吸の技法、疲労、睡眠、診断、効果、治療、ロタ、より良い生活などのテーマをまじえ解き明かしていきます......。

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目次

| はしがき

| 瞑想

| ヨガ

| 鼻呼吸の仕組みを解剖学的に解き明かす

| 鼻呼吸の効能

| 鼻呼吸 : 整える効果

| 鼻と肺は非対称

| 息を吸うと吐くことは非対称

| 忘れ去られた呼吸

| 香りと鼻

| 香りのマインドフルネス

| フェロモンとヤコブソンの器官

| 鼻呼吸のサイクル – 左右交互の鼻呼吸

| 空気はどうやって鼻に吸い込まれていくのか

|自律神経と鼻

| 左右の鼻の穴

| 息を吸うときと吐くときの心拍変動

| 湿気と鼻の感覚

|吸って息を吐く速さ :鼻をすする、くしゃみをする

| ゆっくりと呼吸をする

| あちこちで鼻をかむ ?

| 鼻づまり: 鼻から息ができない

| 鼻で息をしたいけど、詰まっていたら ?

| 鼻アンケート : 鼻呼吸の評価

| ようやく呼吸ができる! 鼻がつまったときの治療法

| ジャラ・ネーティ ・鼻腔内の洗浄

| スートラ・ネーティとさまざまな発見

| 鼻呼吸, 咀嚼と歯並び

| 臭覚:鼻で味わうとは

| なぜ、私たちは鼻をほじるのでしょう ?

| 寝ているときの呼吸を知る

| 睡眠とマインドフルネス

| エピローグ

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Copyright ©2021, Dr. COSTA P.

出版社 : The One, Independently published.

イラスト :マテウス・ロシャ・デ・カルバーリョ

本書の内容の全部または一部を無断で複写することは禁じられています。

本書で述べたアドバイスや情報、治療法を医師や患者が評価し採用する場合は、必ずご自身の経験や知識をもとに参考にしてください。科学は急速に進歩しており、本書のデータを個人的に使用される際は、読者の正しい良識も求められます。著者は、製造物責任、過失、その他を問わず、また本書に含まれる情報、知識、製品、意見の使用または適用に伴う個人または財産に生じたいかなる損害についても、一切の責任を負わないものとします。

鼻呼吸で決まる

瞑想とヨガの効果

耳鼻咽喉科医が専門的に明かす

鼻呼吸と瞑想の世界

私の家族、

友人、

仲間、

そして患者に捧ぐ

インスピレーションの源泉

著者

医師コスタ・P.

マインドフルネス瞑想とヨガを学ぶ

耳鼻咽喉科専門医

耳鼻咽喉科・顔面頸部外科医

アレルギー専門医,

第2リール大学アレルギー学科

パリ第5大学、鼻科のDIU(大学間ディプロム)取得

論文名『耳鼻科における治療法の解剖学的・臨床的・

生理学的原則』

世界アレルギー機構会員

(WAO, World Allergy Organization).

欧州ジュニア耳鼻科学会会員

欧州アレルギー・臨床免疫学会会員

(EAACIジュニア会員)

ベルギー耳鼻咽喉科学会会員

ベルギーアレルギー学会会員

(BelSAaCI、ベルギーアレルギー・臨床免疫学会)

IBEDSMA会員

(ベルギー歯科睡眠医療学際アカデミー)

医学と瞑想

耳鼻咽喉科では、耳、びくう鼻腔、けいぶ頸部の疾病を専門とする内科と外科の診療をおこない、鼻呼吸、におい、副鼻腔、アレルギーなどの疾病治療を対象としています。

ただし本書では、科学者としての立場から話を進めています。とはいえ、実生活での体験やアドバイス、科学的根拠にもとづいた内容も盛り込んでいます。医学とマインドフルネス瞑想との間で交わされるシンプルで役に立つダイアログになっています。

私は、マインドフルネス認知療法のガイドプログラムを学びました。そして、この奥深い認知療法の分野に親しみを感じ、ずっとかかわり続けています。

その後、自分の知識を深めるために、科学的で医学的な根拠と実際の臨床を結びつけるようになりました。またストラスブール大学で「医学、瞑想、神経科学」の医療資格を取得しました。私個人としては、マインドフルネス瞑想を西洋医学と同じく、ひとつの医術だと考えています。

何かを学ぶ上で大切なことは、たどるべき道をみきわめ、幸福感が感じられる健康な体を維持することです。でも、その道には、いたるところに落とし穴が隠されていて、つまずくたびに再び立ち戻ることを余儀なくされます。

本書では、瞑想療法を医学的な認知療法にもとづく事実としてとらえ、特に宗教色を排して科学的な原理から説明しています。また、実際の経験やアドバイス、科学をベースにした内容も取り上げています。

| はしがき|

『私にとって幸せとは、なによりも健康であること』

フランソワーズ・サガン

この本では、医学的な観点と鼻呼吸のコツをともに取り上げています。読者は、この本の内容を読むことで、鼻呼吸のかなめとなるコンセプトを学び、体感していくことになるでしょう。

科学的で医学的な側面をともに取り上げ、一般人や興味のある人、自分の鼻の働きを知りたいと思っている人たちに情報を提供し、実践に導き、そのモチベーションになる内容を紹介しています。また、このような内容は、総合的な知識を実践レベルで広げようとするヨガやマインドフルネス瞑想のコーチにとっても大切な基本的知識となるはずです。

この本で主に鼻呼吸を取り上げたのは、瞑想やヨガの実践中に働いているほかの臓器について理解を深めるのに、欠かせないステップになるからです。

章ごとに書いている内容は、2つの原則がたがいに補足し合い理解しやすいように紹介しています。

つまり、各章の内容を互いに補うことで、陰と陽を表しているのです。

まず、それぞれの章を科学的な観点から解説し、その後に呼吸の吸気と呼気といったヨガや瞑想の技術を中心にテーマを進めています。

◆◆◆

息を吸うと、息を吐くという2つの言葉で章を表しています。

息を吸う: 鼻呼吸と鼻について医学的に大切な概念を知ることで、科学者の視点で考えられるようになります。

息を吐く :そのあとに、瞑想やヨガの視点で別の角度からアプローチを試みていきます。

一部の章では、番外編として知識について話し、斬新で興味深い内容も幅広く取り上げて疑問に答えているので、読者も一緒に考えを深めることができるでしょう。

◆◆◆

呼吸の働きは実にシンプルですが、生命を維持するためにはなくてはならない機能です。ずいぶん前から、私もほかのたくさんの人たちと同じように、不思議な存在が特別なことだと考えていました。

でも実際のところ、この不思議なものとは、平凡なものに興味を持ち、価値を見出し、感動する能力のことだったのです。呼吸とは、毎日生きていく上で、気付かないほど普通に行われている動作です。この何気ない動作を科学的な視点からとらえ、知識を深めることで、役に立つ知識が引き出されることでしょう。

耳鼻科が担当する範囲はかなり広く、その診療も活発です。鼻呼吸療法とは、一人ひとりのライフスタイルや信念、そして期待に寄り添い、健康の増進を目指すものです。

実際、鼻呼吸を実践している人は、信頼できる医療情報を適切な言語で得られるように配慮しています。それが、幸福で健康的な状態を表すウェルビーイングという考え方です。

当然、医師から開業医まで等しく科学的にアプローチできる方法があります。わかりやすくいえば、このような分野に興味のある読者なら、誰にでも開かれているのです。

ダライ・ラマ自身も、瞑想とは心の探求であり、精神の科学であって、どんな信仰からも切り離されるものだと認めています。瞑想は無為の人や霊的な人たちのものだけという考えは、もはや通用しないのです。

本書では、バランスの取れた生活を送る上で欠かせない決め手となる「健康」についてもお話ししています。鼻や鼻呼吸について、これまでにはなかった新しい情報に触れ、詳しい知識を学び、鼻が果たす働きの大まかなで基本的な要素、病気やその治療の可能性についてわかりやすく説明しています。

そして『瞑想とヨガにおける鼻呼吸』の真髄を、科学的な切り口で解き明かしていきます。本書は、読者を専門医にすることでも、ヨガや瞑想のコーチにするわけでもなく、鼻が果たしている大切な働きを医学的に理解し、その効果を日常生活でもっと簡単に利用できるようにすることを目的にしています。

鼻腔が体にとってどれほど大切な働きをしているのか、どのように鼻が呼吸に使われているのかをシンプルに、よくわかるように説明しています。

しかし、本書は個人の健康診断ツールでもなければ、治療の手引きでもありません。何らかの必要性や疑問が感じられたときは、必ず医師に相談してください。

また、本書で述べた鼻呼吸や身体に及ぼす影響についての内容は、絶対的な真実というわけではありません。本書に掲載されている論文の参考文献は、ほとんどが英文で、ほぼすべて自由に閲覧することができます。

そのため、読者は経済的な負担を強いられることなく、自由に検索できるように、PUBMED(*世界の医学論文のデータベース)のサイトに無料で公開されています。

私は、瞑想やヨガで培った技法を会得したことで、医師としての専門性を失うことなく、しかし専門医の姿勢に固執せずに患者さんに寄り添えるようになりました。これは治療の基本でもある「医師の存在感を示す」ということでもあります。

これからは体の一部の部位ではなく、患者さんの全身をくまなく考える必要があります。決して調子の悪い臓器だけを取り上げて診断を下すべきではないのです。

どうぞ本書を最後までお楽しみください!

|まえがき|

医師&教授

スティーブン・ローリーズ

私が瞑想をはじめたのは、自分自身の悩みにからめとられてしまい、生きることが苦しくなったときでした。でも瞑想をはじめてみると、それが本当に大きな助けになったのです。私は、このシンプルで効果が大きいツールが、世間では一般的なイメージや表現にとらわれがちになり、広く普及せずに、実践もされていないことに驚きました。この頃から、私はマインドフルネス瞑想という学びを深めていったのです。

医学や科学の分野では、瞑想への関心がますます高まっています。私自身はリエージュ大学病院センターの医師で、ベルギー国立科学研究基金(FNRS)の研究部長ですが、患者の診療には薬物療法に加え、瞑想の実践を推奨しています。また、リエージュ大学のチームと協力して、瞑想に関する科学研究プロジェクトを開発しました。その中には、マチュー・リカーやラマ・ズーパといった仏教僧と共同で開発したプロジェクトもあります。

瞑想をしていると、さまざまな現状から目線を一歩後退させ、ごく自然に人生やわずらわしい問題、そして自分の体自体もコントロールできるようになります。科学の世界で、瞑想が研究の対象になっているのは素晴らしいことです。

瞑想とは、「何も考えない」「頭の中を真っ白にする」ことではなく、自分の考えを何ものにも結び付けることなく受け入れ、 「今このとき 」という一瞬に意識を集中させることです。

瞑想は、心を病むような過去へのこだわりや将来への不安、つらい感情と結びついた悩みからあなたを解放してくれる手段なのです。

そして、瞑想に欠かせない大切な要素のひとつが呼吸です。呼吸を整えることで、心を落ち着かせ、もっと簡単に今のこの一瞬とつながることができるようになります。1960年代から70年代にかけて、ヒッピーたちの「フラワーパワー」(*体制や権力に反対するスローガン)の流行と結びついた瞑想とはちがい、2010年代以降は、科学的な研究の柱としての瞑想が、新たな興味と関心の的になっています。

最近のさまざまな研究によると、この瞑想に対する紋切り型の考え方はくつがえされ、新たな価値が見いだされています。瞑想をすればするほど、ニューロンの交換が増え、瞑想をした人と、したことがない人の差がはっきりと出ているのです。

つまり、「瞑想」の効果は脳にもよい影響を与えるということです。友人のマシュー・リカールは、科学と瞑想の架け橋をより確かなものにするため、ボランティアで研究に参加してくれました。また、科学と、一心に思いをめぐらす観想的な伝統との出会いを促進する「マインド・アンド・ライフ・インスティテュート」も紹介してくれました。

これは、1991年にアメリカで設立された非営利組織で、瞑想を科学分野に位置づけることを目的としています。私は彼を何度かリエージュに招き、MRI診断で彼の脳を調べ、経験豊かな瞑想者の瞑想効果を研究したことがあります。

私の同僚やGIGA意識研究チームと協同で行った調査では、瞑想している人の脳内部が激しく活動して電波を発し、高周波でつながっていることが観察できました。

分析化学と観察によって、瞑想を具体的に実践できるようになり、現場で役に立つ科学になることが、瞑想に関心を抱く臨床医たちの目標です。

つまり、むやみに傍観や楽天的な姿勢にとどまるのではなく、現代医学の診療に加え、誰もがこの瞑想の効果を感じ、心を落ち着かせて精神が回復するように、普及させていくことが重要なのです。

***

瞑想の効果を主張し、治療方法としての利用を推奨している医師は私だけではありません。科学的な研究から、効果には十分な根拠があるからです。ほかの医師たちにも、瞑想への関心をうながし、実際に体験してもらって、実践しようという気持ちを促しています。

そして、その効果に興味を持つ医師たちも増えているのです。本書では、鼻呼吸に焦点を当てることで、ほかの研究分野の関係者にも扉を開いています。

瞑想の実践は、一部の介護施設では少しずつ定着しつつあり、徐々にその存在感と妥当性が見いだされているところです。これは、医学が瞑想的な伝統や実践に扉を開いていることの表れであり、もはやエキゾチックで興味本位な詮索ではなく、特定の患者のケアに適した合法的な活動として認識されています。

ここで、医療分野に従事しながらも、初めて心を開いて瞑想に関心を寄せたパイオニアたちに敬意を表したいと思います。

マインドフルネス瞑想は、1980年代にマサチューセッツ大学の生物学者ジョン・カバット=ジンによって、医学界に取り込まれました。彼は、最初にがん患者に対して瞑想トレーニングプログラム「MBSR(*マインドフルネス・ストレス低減法)」を開発した人物ですが、その後、このプログラムと、その方向性は、さまざまな適応症の中で研究され、うつ病の再発、不安、中毒、疼痛、慢性疾患などの分野で有効性が確認されています。

この瞑想を行う上で大切なポイントは、患者が自分の状態を受け入れ、苦しみに苦しみを重ねないようにするという考え方です。

依存症研究の分野では、MBRP (*マインドフルネス依存症再発予防プログラム)のようなプログラムがほかにもあります。また、マインドフルネス認知療法は、もともと大うつ病性障害(*気分障害のひとつ)の再発防止治療法として考案されたものです。

このように、医学と瞑想が初めて結びついたことで、瞑想の効果が明らかになり、この結びつきが次第に深まっていったのです。

実際に、多くの研究では、症状そのものを受け入れることが生活の質の向上につながり、認知機能の低下によい効果を与え、不安レベルを軽減してストレスや血圧を低下させることがわかっています。マインドフルネスでは、治癒できない病気との付き合い方が改善すると指摘されています。

一般的には、やや漠然としていますが、総称としては神経科学と呼ばれ、瞑想の活動に焦点をあてています。もちろん、学問や研究、書籍にも開かれており、具体的な実践への一歩を踏み出すための招待状であることに間違いはありません。

また、呼吸ワークは、とことん突き詰めることが大切です。だからこそ、瞑想に関心を持つだけでなく、自ら実践し、現代的で高度に専門化した瞑想の実践方法を過小評価せずに、治療をおぎなう手段として、患者に瞑想を推奨する医師たちが増えているのです。私はそうした医師たちを頼もしく見ています。

***

本書で特に注目しているのは、脳と呼吸との間に存在する強い結びつきです。この結びつきは瞑想をおこなっている間に強化し、拡大させる必要があります。

呼吸と鼻、そして脳とのつながりは、ヨガを実践する上で見逃すことができない知識です。呼吸の機能は特殊で、自動でコントロールされており、意識せずにできる動作です。しかし、意識してもコントロールしやすい機能のひとつでもあり、脳や、ほかの多くの身体機能に影響を与えます。

呼吸と脳の干渉は、体全体を維持するメカニズムにとって不可欠で、相互に依存して結びついています。そこから、瞑想中の呼吸方法を深く理解することができます。

ある意味、この本を読むことで、そのメカニズムを利用し、わずかに意識を向けるだけで心の在り方がわかるようになります。鼻呼吸と脳のつながりは、全身の機能を左右する大切なポイントなのです。

一酸化窒素は大部分がふくびくう副鼻腔でつくられますが、血管を広げる拡張作用があり、血流を増加してくれます。1998年、ルイス・イグナロ博士は、一酸化窒素が心臓血管の健康を改善し、心臓病を予防する強い効果があることを発見してノーベル医学賞を受賞しました。

***

本書では、鼻呼吸に注目しましたが、鼻呼吸はヨガや瞑想を実践する上で、精神と肉体との活動でバランスをとり、幸福を感じるための基本ともなるものです。

残念ながら、現代の西洋社会ではその価値が失われてしまったように思われます。あたりを見渡してみてください。本人たちは気づいていないことが多いのですが、特に睡眠中に口から息を吸っている人が少なくありません。

医師の役割のひとつは、科学的な知識や情報を患者にはっきりと伝えることです。治療するのはもちろんですが、診察室に足を踏み入れた患者に健康的な生活を送るための情報やアドバイスを指南するのも医師の大切な役割なのです。

ストレスやプレッシャーにさらされ続ける社会で、幸福感や気分転換を求める私たちは、鎮痛剤や睡眠薬、抗うつ剤など、手軽で「安易な」化学療法を求める傾向があると指摘されています。確かに、このような解決策には効果があり、ときには何よりも必要な選択肢になりますが、“必ずしもそうだ”とは言えません....。

本書は、読者一人ひとりに向けたものです。鼻呼吸をめぐる課題を探り、瞑想の効果について関心を高めることを目的としています。誰にも効果があるという意識をうながし、実践することを勧めています。このような呼吸の微妙なメカニズムと効果、そして呼吸の力をよく認識できるようなアドバイスを紹介しています。

しかも、お金も時間も特別な努力もいりません。ごくシンプルな実践方法なのです。必要なのは、自分の呼吸を意識する、いわば「呼吸のソフトを変換する」ことです。

つまり、呼吸とは、自分の内面にある、もうひとつの宇宙を発見するための招待状でもあります。マインドフルネス呼吸法と、鼻にかかわるヨガの伝統的な呼吸法については、昔から知られていた技法ですが、現代科学は、このような価値と重要性を、ようやくいま理解しはじめたところなのです。

これからの社会に、このような価値と重要性が普及することで、昔から続く実践に新たな妥当性や正当性が生まれるでしょう。瞑想は、ただエキゾチックな好奇心や秘伝主義とはちがい、バランスの取れた人生を見つけるために、誰にでも手の届くツールになりつつあるのです。

『瞑想は脳に良い« La méditation c’est bon pour le cerveau » 』の著者・神経科医教授スティーブン・ローレンス

|はじめに |

| 瞑想 |

医学分野、とくに鼻呼吸の世界に踏み込む前に”瞑想する”とは、どのような意味なのかを簡単に見ていくことにしましょう。

マインドフルネス瞑想と瞑想とのちがい

このマインドフルネス瞑想と瞑想の概念は、同じような意味に扱われることがよくあります。瞑想や、初めてマインドフルネスの生活を試みようとする人たちは戸惑うかもしれません。

マインドフルネスと瞑想は、たがいに補い合う存在ですが、 この二つの概念の違いを基本的に理解できれば、自分のニーズに合ったエクササイズを創りだせるようになります。瞑想にはさまざまな種類があり、それぞれに固有の性質や行動があって、実践者を自己啓発へと導いて成長させてくれます。

しかし、その特異な瞑想のなかからひとつを選ぶには、自分の目標を理解することと、それぞれの瞑想が何をもたらしてくれるのかを理解することも必要です。

マインドフルネス瞑想と瞑想の二つの概念から、その特性と難しいところを浮き彫りにして、ゆっくり解き明かしていきましょう。

まず、マインドフルネスとは資質のことです。瞑想とは実践であって、最初は、この2つの定義について考えを深めていくことにします。

ジョン・カバット=ジン1は、マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)を開発した人気の欧米作家です。このプログラムは、世界的に認められています。私は、彼の方針のもとで8週間のプログラムを終えてから、マインドフルネスをスタートしました。本当のところ、それまで聞いたこともなければ、どんなもので、どのような仕組みなのかも想像できませんでした。その後、彼のプログラムを取り入れ、ガイドラインを効果的に実践しながら学びを深め、その実践と自分の科学的知識をいつも結び付けながら、学習を続けてきました。

次に、マインドフルネス瞑想と瞑想には、それぞれにたくさんの考え方がありますが、瞑想は実践であり、実践することでマインドフルネスをはじめ、さまざまな特性が発展していくのです。

今では、「マインドフルネス瞑想」という「カテゴリー」がありますが、その主な目的の一つは、実践者が今このときを意識して生き、行動できるようにすることです。

しかし、瞑想の実践には、超越瞑想やヴィパッサナー瞑想など、さまざまなカテゴリーがあります。ヴィッパサナーは、仏教的な瞑想法としては最古のものではないかと考えられています。

この最古ともいわれる瞑想法は、肉体的、精神的に現れるあらゆる現象を瞑想の対象としてとらえ、アプローチしていきます。マインドフルネス瞑想も、その多くの瞑想法のひとつに過ぎません。

だた、誰もが瞑想を受け入れ、日常生活に必ず瞑想を取り入れたいというわけではないことも知っています。

多くの人は、瞑想はなにか矛盾し、秘伝的な存在で、「何もしない」運動のようなものだと思っているようですが、決してそのように考えるべきではありません。」

この10年、医療界や特に医師たちは、このような診療に力を入れています。瞑想の効果は、科学的にも証明されており、2019年に出版された『瞑想は脳に良い』の著者スティーブン・ローレンス教授は、私のリエージュ大学時代の同僚で著名な神経学者ですが、彼は瞑想の実践を続ける理由を遊び心たっぷりに語っています。瞑想は、精神に幸福感をもたらし、体に意識を与えてくれる存在だと。

どのような瞑想でも、実践している人は自分の心の世界を見る観察者となり、最小の努力で、ジャッジのない中立の姿勢をとることが求められます。このような考え方は、本書を読み進めていくうちに理解が深まると信じています。

第三に、幸いなことにマインドフルネスの実践方法は、瞑想を意識的に行うだけではなく、さまざまな方法が提唱されています。たとえば、食事に配慮したり、鼻呼吸や話し方に気をつけたりすることなどです。

マインドフルネスを何らかの方法で実践するということは、日常のあらゆる活動を自分の意識に落とし込んで取り組むことなのです。ゆっくりと時間をかけ、注意を払い、ジャッジせずに、今このときに起こっている体験にすっぽりと集中するということです。

マインドフルネスと鼻呼吸

マインドフルネスとは、自分の身体とつながり、五感を刺激し、感覚を察知し、今このときの景色、音、匂い、そして味に気づき、目を覚ますことです。

これまでにいったい何度、過去の記憶に思いを巡らし、不安や自分が言った言葉、ああすればよかったと思う行動、変えたいと思う状況に悩み、悔やんできたでしょうか。マインドフルネスとは、「今のこのとき」に集中することで、自分の思考、感情、感覚をジャッジせずに認識し、受け入れることができる心の状態を指します。

このように考えることで、私たちは「今を生きる」という意味を理解することができるのです。過去は二度と戻ってはこないし、未来を完全に自分でコントロールできないのですから、思い悩んだとしても、ただの不安要素になるだけです。

もちろん、楽しかったことを思い出したり、自分の願いや希望、より良い未来の姿を投影したりすることもできます。でも、大切なことは、今このときを生きていることを意識せずに、通り過ぎるままにしないことです。

日常生活の中で、少しでも融通の利く時間を活用すると、マインドフルネスを絶えず実践することができます。 それは、子供たちと過ごす短い、濃密な時間であり、家事や仕事、旅行などで家族とかわす対話を意識すること、つまり「完全に、今このとき」に生きることです。あっという間に飲み干したコーヒーでも、別の瞬間に、喜びや落ち着いた感情、マインドフルネスに変えることができます。

毎日30分も座って瞑想の練習をしなくても、たった数分でもこのとき瞬間を意識して瞑想すれば、大きな効果が得られるのです。瞑想の実践とは、自分の生活に対応させることもできれば、余裕のある時間や、そうしたいと願う気持ちに合わせて、日常生活の中に取り込むことができます。なにも初めから完璧にこなす必要はなく、意識と感覚を研ぎ澄ませるだけでも十分です。

こうした日常生活を過ごす時間にこそ、マインドフルネスの価値があるのです。マインドフルネス瞑想とは、思考をスローダウンさせ、ネガティブな気持ちを手放し、心と体を落ち着かせることを学ぶメンタルトレーニングなのです。そして瞑想の実践はたいてい、呼吸に焦点を当てます。

呼吸を意識し、空気が体に入っていく感覚、出ていく感覚に耳を傾けます。お腹がふくらんだり、へこんだりする感覚、鼻の穴から空気が出入りすることも感じてみてください。

一回の呼吸がどのように変化し、変わっていくかを意識しましょう。雑念が浮かんだとしても、無視しなくていいのです。すべてを受け入れ、冷静になり、呼吸を意識の軸のように使って心を集中しましょう。

マインドフルネス瞑想の実践には、何の装いも準備も必要ありません。実際、キャンドルもエッセンシャルオイルもマントラも、それを好む人以外は不要です。必要なのは、座り心地の良い場所と、3分から5分の間、自由になる時間、そしてジャッジのない落ち着いた気持ちだけです。

マインドフルネスの手法はさまざまですが、瞑想が大きな支えとなり、実践では、呼吸が基本的な素養になります。本書の目的は、このような概念と体、鼻呼吸、感覚との間で対話をうながし、健康や生活に役立つような効果を伝えることです。

| ヨガ|

ヨガは古代からの精神科学であって、肉体的、精神的な制限を克服するためのテクニックや姿勢を通して学ぶことになります。

これは、インドに古くから伝わるフィットネスで、バランス感覚、パワー、そして柔軟性を養うことに重点を置いています。しかし、このような要素は正しい呼吸法を身につけ、組み合わせることで初めて獲得できるものです。

ヨガは世界で最も人気の高い東洋の実践法の一つだと言えます。アーサナ(*座法)とは、快適でリラックスした状態を長い間、維持することができるポーズや姿勢を表す言葉です。

また、特に瞑想を目的として「快適で安定した座り心地」ともいい表される言葉です。多くの人がアーサナという言葉を洗練された高度なポーズと考えていますが、本来はシンプルで基本的な姿勢から、複雑で難しいものまでさまざまなものがあります。

誰も、はじめてやってみた日にアーサナをマスターできるとは思っていません。ヨガの練習は、時間をかけて実践し、体の限界を超えることだといわれています。

このような身体運動は、一番シンプルな運動から、柔軟性の面でもっとも高度で難しい動きができるように、身体が少しずつ体系的に準備されるように計画されています。

実践経験のレベルを問わず、初心者や中級者、上級者であっても、練習すればできるようになります。

アーサナでは、呼吸が重要な役割を果たします。呼吸と動きを連動させることで、ヨガの実践と調和し、呼吸が自然と深くなり、血液の循環や代謝が刺激されるからです。 特に鼻から呼吸をすることで、筋肉の状態が著しくリラックスして状態が改善します。つまり、息を吸うときの集中力を体の緊張した部分に向け、息を吐くたびに意識的にリラックスさせてくれるのです。

体操とはちがい、アーサナでは、ゆっくりとした動作を行うことで精神的な集中力を確立し、動きを意識して理解できるようになります。ポーズの数や難易度ではなく、実施するときの質が大切なのです。そうした意味でも、運動と呼吸の連携は欠かせない要素になります。普通、胸やお腹を広く開く動作は、必ず息を吸うこととつながっています。そして、胸やお腹を閉じる動きは、呼吸や動きの自然な方向によって吐く息と連動しています。

ヨガの種類はたくさんあります。練習して何ができるようになりたいのかを知ることで、どれが自分にとって一番合っているのかを判断することができます。